全盲でも初音ミクを使って作曲する方法

初音ミクに代表されるようなVocaloidを使って曲を作る方法についての大筋を解説します。

ここで解説しているのは、あくまでも大筋の話です。

作りたい曲によって変わってくるのでご注意ください。

今回はWindows7パソコンで、スクリーンリーダーにはNVDAを使っています。

用意するもの

ここでは曲を作っていくうえで、以下のソフトウェアを用意しました。

各ソフトウェアのインストールについては、マニュアルをご参照ください。

VocaloidEditor
初音ミクなどの音声ライブラリを使うためのエディタです。
初音ミク V4X
ここでは初音ミクを使いましたが、リンやレン、グミなどあなたの好みに合わせて自由に選んでください。
テキスト音楽「サクラ」
ドレミなどと書かれたテキストファイルからMIDIを作ります。
MidiRecorder
パソコンのキーボードを使ってMIDI演奏や録音をしたり、「テキスト音楽サクラ」をより使いやすくなる機能が付いています。
WavePad 音声編集ソフト
MIDIファイルやWaveファイルなどを、編集したり別の形式のファイルに変換します。

ヴォーカルパートを作る

初音ミクが歌うヴォーカルパートを作ります。

ヴォーカルパートは、「歌詞を作る」「メロディーを作る」「初音ミクで歌わせる」という3つのプロセスがあります。

作っていく順としては、歌詞とメロディーではどちらが先でも問題ありません。

ちなみにぼくは同時に作ります。

メロディーを作る

まずは初音ミクで歌わせるメロディーを作ります。

MidiRecorderを使うと鼻歌感覚でメロディーを考えることができます。

ポイントは音が出るタイミングで、初音ミクが発生するので、歌うように音符を配置することです。

メロディーラインが決まったら、テキスト音楽サクラでテキスト情報の楽譜にします。

「ドレミ」と書けばドレミと演奏されます(ストトン表記)。

テンポや音階、音符などできるだけ細かく指定しておきます。

ただし、現段階では音色の指定は必要ありません(初音ミクの声になるので)。

メロディーが決まったら、MIDIファイルとして保存します。

歌詞を作る

テキストエディタを開いて歌詞を入力していきます。

文字を打ち込んで編集するだけですから、Windows付属のメモ帳で十分です。

ポイントは、すべてひらがなで書くことと、基本的に1つの音に対して1つの文字を割り当てるようにすることです。

ただし、「にゃ」など次の文字が小さい場合は、まとめることができます。

歌詞が完成したら、1つの音ごとに文字を区切っていきます。

このときの区切り文字は、スペースまたは改行です。

初音ミクに歌わせる

さぁ、いよいよ初音ミクに歌ってもらいます。

VocaloidEditorで先ほど作ったMIDIファイルを開きます。

すでに仮の歌詞が音符のひとつひとつに割り当てられているので、スペースキーを押すと「ああ」などと歌います。

スペースキーを押してから実際に初音ミクが歌いだすまでには数秒かかります。

設定で先頭の無音部分を短くできますが、やりすぎると初音ミクがおかしくなるという場合があるみたいなので、ここはいじらないでおきます。

あなたの作ったメロディーで初音ミクが歌ってくれたことを確認できたら、実際の歌詞に書き換えます。

あらかじめ作成しておいた歌詞ファイルをテキストエディタで開いて、すべて選択しコピーしておきます。

その後VocaloidEditorに戻って、Ctrl+Aを押して音符をすべて選択した状態にして、「ジョブ」メニューの「歌詞の流し込み」を選択します。

するとダイアログボックスが開き文字を入力できるようになるので、Ctrl+Vを押して歌詞を貼り付けます。

問題なければ、Tabキーを押してOKボタンまで移動し、スペースキーまたはEnterキーを押して元の画面に戻ります。

Ctrl+HomeまたはHomeキーを押して先頭まで移動し、再びスペースキーを押すと数秒後に初音ミクがあなたの作った歌詞で歌いだします。

もしおかしかった場合には、作業工程を戻ってやり直します。

ちなみに、歌詞や発音記号を直接修正することもできます。

その場合は、Homeキーを押して先頭の音まで移動し、F2キーを押します。

するとスクリーンリーダーでも歌詞を1音ずつ修整できるモードになります。

Tabキーを押すと次の音へ移動し、Shift+Tabキーを押すと前の音に戻ります。

さらにAlt+↓キーやAlt+↑キーを押すと、歌詞と発音記号を行き来できます。

例えば、歌詞にフォーカスされてるときに、Alt+↓キーを押すと発音記号を編集できるようになります。

でもこの方法はスクリーンリーダーユーザーにはあまりお勧めできません。

最後の手段として、頭のすみにでも置いておいてください。

問題なければ、ここでVsqx形式のファイルとして保存しておきましょう。

これでヴォーカルパートは完成です。

伴奏パートを作る

伴奏パートを作るには、「各楽器が演奏しているMIDIファイルを作る」「MIDIファイルをWAVEファイルに変換する」というプロセスがあります。

各楽器が演奏しているMIDIファイルを作る

各楽器の演奏パートを作ります。

曲により楽器構成が変わってくるので、一概には言えませんが、基本的にはドラムパート、ベースパートとコード演奏パートの3つがあればそれなりに聞こえます。

すべてテキスト音楽サクラに打ち込んで楽器演奏パートとして1つのMIDIファイルにします。

しかし、スクリーンリーダーユーザーの場合、テキスト音楽サクラで楽器を指定するのは少し大変です。

なので、 MidiRecorderを使ってテキスト音楽サクラの音色を簡単に変更する方法 も参考にしてください。

各楽器のパートができたら、MIDIファイルにして保存しておきます。

MIDIファイルをWAVEファイルに変換する

VocaloidEditor上でヴォーカルパートと伴奏パートを合わせるためには、初音ミクが歌わないメロディーをすべてWAVEファイルにしておく必要があります。

まぁぶっちゃけ音の合成だけならVocaloidEditor以外でもできます。

でもその場合、前述しましたヴォーカルパートの最初にある数秒の無音部分を計算して、伴奏パートの開始タイミングと合わせていくという作業を手動でなんとかする必要が出てきます。

それは面倒なので、VocaloidEditor上で合成することにします。

WavePadで先ほど作ったMIDIファイルを開きます。

必要に応じて、音の増幅や減少、フェイドアウトなどの処理をしておいてください。

最後にWAVEファイルとして保存します。

これで伴奏パートは完成です。

ヴォーカルパートと伴奏パートを合わせる

ヴォーカルパートで作成したVsqxファイルをVocaloidEditorで開きます。

続いてファイルメニューのインポートからWAVを選びます。

伴奏パートで作ったWAVEファイルを選択しEnterキーを押すと、挿入する位置を聞かれます。

先頭から挿入したい場合は、1小節目の1拍目でクロックは0を指定しOKボタンを押します。

これでうまくいくはずです。

スペースキーを押して聞いてみましょう。

数秒無音の後に曲が始まります。

問題なければ、WAVEファイルとして書き出しましょう。

ファイルメニューのエクスポートからWAVを選びます。

するとWAVEファイルのフォーマットや、書き出すトラックなどを聞いてきますが、よくわからない場合はそのままOKボタンを押します。

続いておなじみのファイル保存用のダイアログボックスが出るので、保存先とファイル名を指定してEnterキーを押します。

これでヴォーカルパートと伴奏パートを合わせたWAVEファイルが完成しました。

最後の仕上げ

ここまでで一応、初音ミクの歌う曲が完成したんですが、このままでは少し問題ですよね。

なぜなら、最初に数秒の無音部分がありますし、WAVEファイルというのは音質は良くてもファイルサイズが大きすぎます。

なので、そのあたりを修整します。

WavePadでWAVEファイルを開きます。

スペースキーを押して再生させ、歌の始まる直前でEscキーを押しその位置で止めておきます。

でもこれは見えている人か、無音の秒数がわかっていないとできませんよね。

もし無音の秒数がわかっているなら、Ctrl+Gキーを押して時間の指定ダイアログを出して、開始時間を0にして終了時間を無音が終了する少し前に指定しEnterキーを押します。

すると、指定した時間が選択された状態になるので、Deleteキーを押せばその部分をカットできます。

ぼくみたいな適当でいいという人は、右矢印キーで音を聞きながらの早送り、左矢印キーで音を聞きながらの巻き戻しができるので、適当な位置まで移動し止めておきます。

続いて、Shift+Homeキーを押すと現在位置から先頭までを選択状態にできるので、最後にDeleteキーを押せば無音部分をカットできます。

再生して確認します。

音量が小さいなどの問題があれば、増幅したりできるので、この機会にやっておきます。

問題なければファイル容量が小さく、いろいろな環境で再生できるMP3ファイルとして保存しておくのがよいでしょう。

これで完成です。

あとはもっと良い曲になるようにあなた独自で工夫していくだけです。

初音ミクの声が出るキーボード

あなたも初音ミクの声で演奏できるボーカルキーボードで遊んでみませんか?

歌うキーボード ポケット・ミク

歌声を楽器化する心臓部にはヤマハ株式会社が開発した eVocaloid 対応音源 LSI “NSX-1" を搭載しています。

流れてくる歌声には、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社の展開するバーチャル・シンガー『初音ミク』の音声データが使用されています。

『歌うキーボード ポケット・ミク』があれば、いつでも、どこででも、あなたの手で『初音ミク』を歌わせることができます。

サンプル曲

いくつかパターンを変えてサンプル曲を作ってみました。

作った曲と、曲を作るのに使ったファイル一式をZIP形式にしてあります。

キラキラ星

歌は初音ミク、伴奏はドラム、ベースとオルガンです。

前述の説明に沿ったものにしてみました。

キラキラ星を作るのに、使用したファイル一式はこちら

カエルの歌

初音ミクで輪唱させてみました。

今回はあえて伴奏をなしにして、前後に効果音を付けてみました。

カエルの歌を作るのに、使用したファイル一式はこちら

「ヴォーカル(1)」「ヴォーカル(2)」「ヴォーカル(3)」の順で輪唱されます。

3つのパートをまとめたMIDIファイルを作ってから、まとめて歌詞を流し込ませたかったんですが…。

パートまたはトラックを切り替えるキーボードショートカットがわからなかったので、バラバラに作って、その後に合成させることにしました。

「ヴォーカル(1).vsqx」をVocaloidEditorで開きます。

次にファイルメニューのインポートからトラックを選びます。

するとファイル選択ダイアログが出るので、「ヴォーカル(2).vsqx」を選ぶと追加されて読み込まれます。

もう一度同じ操作をして、「ヴォーカル(3).vsqx」も読み込ませます。

どちらも先頭位置から読み込ませると、きれいな輪唱ができます。

ただ、「ヴォーカル(3).vsqx」は初音ミクの推奨音域ではないため、ちょっと聞きづらいです。

誕生日

曲を作るのはハードル高いという場合には、初音ミクでメッセージを言わせてみてはいかがでしょうか?

誕生日を作るのに、使用したファイル一式はこちら

初音ミクをどう使うかは、あなたのアイデアしだいです。

以上です、ありがとうございました!